登山道と緑

73: 名無しさん 2009/05/01(金) 20:07:32 ID:hZ1mpMKZ0
知り合いの話。

仕事で山に籠もっていた時のこと。
夜中に小用を足そうと裏口から出ると、何やら仮設トイレ横の闇中で動く物がある。

子供ほどの小さな影だ。
猿かなと思いながら近よると、あっという間に山へ消え去った。
辺りを懐中電灯で照らすと、浅く掘られた穴とその中に団栗を見つけた。

少し離れた位置に同じような穴があり、やはり中には団栗が収められている。
動物がこんな真似するのかと思いはしたが、時間も遅いのでそれ以上調べず、
そのままトイレを済ませて寝ることにした。

翌朝、外に出た彼は目を疑った。
昨日穴があった場所に、小さいながらもしっかりとした苗木が伸びていたのだ。

半日足らずでこんなに成長するなんて・・・団栗じゃなかったのか?
しかしこの勢いで成長されると、トイレや倉庫に干渉し邪魔になる。
とはいえ引き抜くのも何か躊躇われ、仕方なく別の場所へ移植したのだという。

移動させられてからは、芽が伸びる速度は普通の樹木レベルに戻ったようだ。
なぜあの夜だけあんな急成長をしたのか、幾ら考えてもわからない。

やがて交代の要員が来、引き継ぎを行っている時にこの話を振ってみた。

「あぁ、それは恐らくヤマンボってやつですよ」

年嵩の同僚はあっさりとそう教えてくれた。

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74: 名無しさん 2009/05/01(金) 20:09:22 ID:hZ1mpMKZ0
(続き)
伝わる話によれば、昔からここの山にはヤマンボと呼ばれる妖怪がいて、
団栗や他の木の実を埋めては育てているのだと。

「何でそんなことするのかって、そこまでは伝えられてないですけど。
 思うに恐らく、自分たちが食べる樹の実を育てているんじゃないですかね。
 私は見たことがないんで、あくまでも想像ですけども」

へえ、とそれを聞いて感心したそうだ。

私にこの話をしてくれながら、彼はこうも続けた。

「聞いたことがあるんだけど、日本の自然は手を加えず放っておくと森になるんだと。
 恐らく気候帯の所為だろうけど、ひょっとしたら俺があの夜見た、何というか精霊
 みたいなのがいて、樹とか森とかを育てているのかもな。そう思った」

この国にはそんな精霊もいるかもな。聞きながら、私もそう思った。

85: 名無しさん 2009/05/02(土) 07:30:21 ID:l5ITtFe00
>>73
ほのぼの~w
リスなんかも隠したドングリを一定数忘れるようにできてて
それが春に芽を吹いたりするね、彼等も山の精霊の一部なんだろう。

全然関係ないけど、タケノコって本当に1晩で1Mも伸びるものなの?
そんな早さなら見てて伸びてるのがわかるよね。
植物がそんな早さで伸びるのがちょっと気持ち悪いというか信じられないというか…

93: 名無しさん 2009/05/02(土) 13:24:47 ID:+Fco6B460
同僚から聞いた話

職場の同僚から聞いた話です。
彼は渓流釣りを趣味としており、休日には穴場を探して山に入るそうです。

ある秋のこと、渓流を探して山に入っていた筈なのですが、紅葉が綺麗なの
に誘われて、地図でもよくわからないような場所に着いてしまいました。

「ヤバイ、迷子になってしまったか?」と思ったそうですが、近くに水の音
が聞こえ、そちらに行ってみると渓流がありました。

「お、いい沢があるじゃん」と思い、迷子になったことを忘れて釣りはじめ
ました。
意外と良く釣れ、気がついたら夕方近くになっていたそうです。

道もよく解らないので車から用具を出して野営することにしました。
金網の下で火を熾して釣れた魚を焼いている途中、いつの間にか眠っていた
ようです。パチパチとはぜる音で眼が覚めました。

「いけんいけん、魚が焦げちまう」と思い、金網を見ると一匹の魚もありま
せん。

続きます

94: 名無しさん 2009/05/02(土) 13:44:59 ID:+Fco6B460
続きです。

「おかしいな、寝てる間に盗られたか?」
狸とか狐にでも盗られたかと思い、また魚を出し、焼き始めました。

焼き始めてしばらく経つと、また眠ってしまったようです。
ふと眼を覚ますと、また魚はありません。

「クソっ、次は絶対に寝ないからな」と眼の下にメンタムを塗って
最後の数匹を焼き始めました。

しばらく経つと、また眠くなってきました。しかし、メンタムを塗ったので
そうそう眠りません。

眠くなり、頭がカクンとなって眼が覚めるというのを何度か繰り返すうちに
ガサガサっ、と目の前の茂みから何か動くような音がしました。

「ん、きたか?」と身構えようにも眠気でぼんやりとしています。
そのまま茂みを見ていると、にゅっといった感じで手が出てきました。

「手?なんでこんなところから?」と眠い頭で考えていたそうですが、眠気
に負けて寝てしまいました。

「結局、気がついたら朝でさ。魚は一匹も食えんかったわ。」
そういいながら話す同僚に「手、気持ち悪くなかった?」と聞くと
「意外と綺麗な手でさ、白くてなんか女の人みたいだった。」
と笑いながら話していました。

121: 名無しさん 2009/05/04(月) 17:12:52 ID:kf+xz0+y0
友人の話。

勝手知ったる山中を歩いていると、何処からともなく口笛が聞こえてきた。
珍しいな、こんな時期に入山している者がいるとはね。
自分のことを棚に上げ、そんなことを考えた。

口笛を聞きながら歩くうち、見覚えのある分かれ道に出た。
そこではたと困惑して足を止めた。
確かにこの場所を自分は知っている。

だのに、どちらに進めば山を下りられるのか、それがさっぱりわからない。
信じられないことに、熟知している道の繋がりをすっかり忘れてしまっていた。

まぁ何とかなるさ、と適当な方へ進み出す。
しかし、それから出会す道という道がさっぱりわからない。
間違いなく知っている筈の道なのだが、いざ進もうとすると急にわからなくなる。
やがて踏み入れる道どれもに見覚えが無くなってしまった。

拙い、本格的に迷ったか。

焦っているうち、奇妙なことに気が付いた。
ずっと途切れなく、あの口笛が聞こえ続けていることに。
それどころか、いつの間にか随分とはっきり聞こえるようになっている。

・・・口笛の主が少しずつ距離を詰めている・・・

急に怖くなり、足早に走り出した。
口笛はしっかと後をついてくる。

122: 名無しさん 2009/05/04(月) 17:14:23 ID:kf+xz0+y0
(続き)
その時、別の音に気が付いた。
水音だ。近くに川が流れている。
何とかせせらぎに辿り着くと、流れに沿って下ることにした。
苦労はしたが、無事日が暮れる前に山を下りることが出来た。

不思議なことに山を下りると、道筋が楽に思い出せるようになっていた。
かなり離れた場所に出てしまったので、戻るのに苦労はしたが。
口笛はいつの間にか聞こえなくなっていた。

後日、林業の関係者にこう言われた。

「嘯き丸に狙われたな。
 あの口笛を聞いてしまうと道を忘れてしまうんだ。
 力尽きてたら隠されるところだった。
 お前さん、助かって良かったな」

ウソブキマルって一体何なのですか?と問い返すと、

「ここに昔からいる鬼の名だよ。
 嘯きってのは口笛のことだ」

話をしてくれた人は、煙草を燻らせながらそう教えてくれたという。

133: 名無しさん 2009/05/05(火) 05:23:28 ID:pu8Gji/X0
>>121
昨日ちょうど山で口笛聞いたからちょっと怖い…

210: 名無しさん 2009/05/09(土) 00:50:11 ID:2bVroUZN0
>>121
街中で似た経験をしたことがある。
5,6年前に池袋の通いなれた道で、自分のいる場所がわからなくなった。
若年性痴ほう症を発症したのかと思ったが、その後再発することはなかった。
道に迷っている間、口笛で「影を慕いて」のメロディが聞こえていた。

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引用元:http://anchorage.5ch.net/test/read.cgi/occult/1240987818/

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