山々

45: 名無しさん 2006/03/04(土) 08:13:19 ID:c6svcn1s0
適度な高さで窪みが多く、色々なルートで登れるその岩で、
俺たちはよく、クライミングまがいの遊びをしていた。

登山道から数分だけ外れたところにあり、あまりそこを
知る者は居なかった。
その日、俺は頭上を見上げ、呆れる思いだった。
とんでもない登り方をしている奴が、はるか上に居るのだ。

クライミングにおける基本的な技術として、3点確保、あるいは
3点支持というのがある。

両手両足の4箇所で岩肌に貼り付き、上下左右、どの方向に進むにせよ、
常に3箇所は岩から離さず、片手だけ、あるいは片足だけを動かして
登攀を進める。

フリークライミング等で使われる新たな技術でも基本は同じだが、
うっかりすると、片手一本でぶら下がり、両足を一気に頭上まで
持ち上げるような登り方もする。

俺が呆れている相手は、まさにそうした登り方をしていた。
危なっかしく見え、同時に、姿勢の一つ一つが芸術的だった。

雑誌等で見たことはあったが、それを実際に見るのはその時が初めてだった。
どうやってバランスを取っているのだろう。

腕一本でぶらぶらしながら大きく身体を横に振り、爪先をちょこんと
岩の小さな窪みに乗せる。
身体は大きく斜めに傾いている。

右手と左足だけで岩に張り付いた姿勢のまま、残りの手足を細かく使い、
気が付くと数メートルの高度を稼いでいる。
無論、ザイルなど使っていない。

46: 名無しさん 2006/03/04(土) 08:15:04 ID:c6svcn1s0
見事な動きの連続に、どうしても試したくなってきた。
そいつを観察する。

胸をそらせ、両手を岩から離し、躍り上がるように高度を稼いだ。
よし、と思い、両手を離して胸をそらせた。
体全体が爪先を軸にして岩から離れ、加速した。

ここで伸び上がれば、あいつのように登れると思い、両足に力をいれ、
爪先が真っ白になるほど力んだ。
足が岩を失い、天地が回り、さらに加速した。

反り返った身体に痛みが走り、背骨が音を立て、腰骨に衝撃が来た。
落ちた拍子に顎を強打し、鼻の奥が痺れ、噛み合わせた奥歯が軋み、
耳のすぐ上が衝撃で震えた。
「大丈夫か」
ザイルを確保している友人の声が上から聞こえた。

「ちょっと失敗」
そう答え、見知らぬクライマーの姿を求め、はるか上を見上げた。

大した高さがある岩ではない。
その岩には「頭上、はるか上」などない。
当然、フリークライマーもいない。

やられたなあ、と思い、目を閉じ、衝撃でまぶたの裏に散っている
火花が収まるのを待った。
3点確保だぞと自分に言い聞かせ、いつもどおりに登った。

47: 名無しさん 2006/03/04(土) 09:44:29 ID:Q1hjB0og0
全裸隊さんに幻視を見せるモノは何者なんだろうね。
またか、って感じて居るみたいなその不可思議なモノへの慣れ感に
痺れっぱなし(w

51: 名無しさん 2006/03/05(日) 08:27:29 ID:wE52yQFZ0
>>47
生まれて初めて一人でテントを担いで山へ行き、ほとんど人の
通らぬ山道の脇にテントを張り、あまりに気分が良かったので、
ちょいと昼寝と洒落込み、目が覚めたら夜7時を回り、
すっかり暗くなっていた。
細かい雨が降り出していて、ぽつんと山の中に一人。

それまでに知った、あらゆる「怖いもの」が総動員されて
想像と妄想が際限もなく広がり、心を支配した。

真っ暗で動くに動けず、逃げるに逃げられず、寝るに寝られず
外の見えないテントの中、やたら敏感になった聴覚が、さらに
恐怖を煽り立てた。
無論、具体的な何事かがあった訳ではない、と、思う。

当時、15歳。
その後しばらく、遠くに見える丹沢の山々が、何となく恐ろしい
色に染まっているように思えて仕方なかった。
今となっては自分を可愛いもんだと思えるが、個人的には、
山における、第一級の恐怖の夜だった。

何度かそんなことを繰り返すうち、五感に訴えかけてくるものを
ありのままに受け入れることが、恐怖をコントロールする自分なりの
方法だと気付いた。

48: 名無しさん 2006/03/04(土) 11:17:54 ID:VoxxoUY90
ミッション・インポシブルのトムクルーズのようだ
つーか、猿!?

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引用元:http://toro.5ch.net/test/read.cgi/occult/1141220480/