山と空

19: 名無しさん 2006/05/03(水) 03:10:18 ID:0RIA4a450
サバイバルゲーム

友人の話。

持ち山を歩いていると、道の先に妙な格好をした人の姿が見えた。
迷彩服にごつい銃を持っている。
人ン家の山に勝手に入り込んで、サバイバルゲームでもしてやがるのか?

そう思い少し離れて見ていたが、何やら様子がおかしい。
連れはいないみたいで、しっかりと道の上で姿を晒して歩いている。
ゲームをしているといった感じではなかったという。

時たま足を止めて、目の前の木をしげしげと見やっている。
そしてその木に弾を何発か撃ち込んで先に進む。
そんなことを延々とくり返していたらしい。

後をつけていると、迷彩服が撃った木の辺りで、地面にBB弾が散っていた。
何の気なしに拾い上げて、眉を寄せる。
弾の表面に、御経のような変わった字が書き込まれていたのだ。
落ちていた弾を拾い集めてみると、そのすべてに字があったという。

一体あいつ、何やっている?
顔を上げてみると、いつの間にか迷彩服姿は消えていたという。
そこの道はかなりの先まで一直線、そして目を離していたのは僅かな時間
だったというのに、一体どこへ行ったんだ?

彼はそのまま山道を歩いたが、二度とあの後ろ姿を目にすることはなかった。
妖しげな弾は、すべて拾い集めて棄てたのだそうだ。

スポンサーリンク
20: 名無しさん 2006/05/03(水) 03:12:56 ID:0RIA4a450
焼き場守

知り合いの話。

彼の祖父は焼き場守をしていた。
別に志願した訳でなく、単に焼き場が実家の持ち山にあったからなのだと。
祖父が言うには、そこで人以外の物を焼いたことが、一度だけあるのだという。

ある時、中年の夫婦が「焼いてほしい」と、その前年に死んだ一人娘の振り袖を
持ち込んだ。遠くに引っ越すのだがある事情で持っては行けない、かと言って
捨てるというのも気が引ける。この村で焼いて供養したい、そう夫婦は言った。
綺麗な袖を燃してしまうのはちょっと抵抗があったが、断わる理由もないので
引き受けたという。

異変が起こったのは、衣全体に火が回ってからだった。
赤い炎の間から、何本もの蒼白い手が伸び上がって宙を掻き毟りだしたのだ。
祖父は目を剥き慌てたが、夫婦はえらく落ち着いていた。
何か悟ったような、いや諦めたような目をしていたので、とても問い質すことは
出来なかった。

伸び出た手は、あっという間に燃え尽きて灰となり、崩れて消えた。
夫婦は灰を少しばかり壺に詰め、礼を言って村を去ったという。

焼き場で実際に魂消たっていうのは、後にも先にもあれだけだったよ。
そうお祖父さんは話してくれたそうだ。

25: 名無しさん 2006/05/03(水) 10:33:00 ID:D+dPmhhhO
>>20
なんか着物につく妖怪がいたなぁ。
着物を着ようとすると、
袖口から手が出てきて着付けを手伝ってくれる…んだったか。

悪いやつではなかった様な。

48: 名無しさん 2006/05/04(木) 09:13:07 ID:/uJujMhz0
追悼

職場の近くに、登山サークルがある。
その登山サークルで、雪崩による死者が出て数週間。
事務所の前に、マイクロバスが止まっていた。

それほど珍しい光景ではない。
そこでは数ヶ月に一度、そうした光景を見ていた。
いつもと違うのは、笑顔がひとつも見えないことだ。

追悼だな、とそれはすぐ分かった
俺にも経験はあるが、あまり良い気分のものではない。

遭難事故の後、深夜まで事務所の灯が消えず、後始末に
追われていた頃、菓子を差し入れたことがある。
その折、顔を合わせた男性が、バスの前に立っている。

目が合い、挨拶を交わした。
追悼ですねと声をかけると、あと二人来てないんですと答えた。
それで全員だと付け加え、視線を泳がせた。
バスもそれで満席になりそうだった。

携帯電話で話しながらバスから降りてきた女性が、電話を切り、
残りの二人は、急用か何かで来られなくなったと告げると、
それで出発ということになった。

49: 名無しさん 2006/05/04(木) 09:14:07 ID:/uJujMhz0
俺は少し待ってくれと言い、すぐ前の酒屋で酒を二本買った。
遭難事故で死んだのは、二人だったはずだ。
出発直前に来られなくなったのが。二人。
帰りのバスは、満席になっているだろう。

酒を差し出すと、相手は、現場で飲ませてやりますと言った。
俺が、帰りのバスで飲ませてやって下さいと言うと、
少し考え、はっとした顔で俺を見た。

現場に撒くだけでは、そこに居ろってことにもなりますね。
長年、山をやっているが、そんな風に考えたことはなかったと
相手は言い、目から鱗だと小さく笑った。

走り出したバスを見送り、俺は駅までの道を歩いた。

51: 名無しさん 2006/05/04(木) 09:38:10 ID:NaktJPaD0
そうか、乗って帰って来るんだ・・・

53: 名無しさん 2006/05/04(木) 11:19:51 ID:n8twhRO70
事務所で、仲間が無茶な計画をしないか見守ってくれてるかもしれませんね。

54: 名無しさん 2006/05/04(木) 12:10:40 ID:3QPf9pqj0
見守るどころか、
逆に帰り道でマイクロバスごと崖から落とされたりして。

57: 名無しさん 2006/05/04(木) 18:52:53 ID:wJ5xWi6l0
>>54
なんてことを言うんだ、君は(((゚Д゚;)))

ヒュッテは夜嗤う 山の霊異記

▽注目記事

山歩きのペースが分からん…登りでゆっくり歩くのが苦痛そしてバテる

登山中は谷側を歩くと足で石を落とす可能性があるので注意を!

ハイキングに毛の生えたようなの好きだな。

ずっと日帰りの低山しかしないなら雨を避けるのも有りだと思う…でも、悪天候を避け続けていたら悪天候スキルが身につかない

【THE NORTH FACE】クライムライトかベリーライトかで迷っている。ベリーライトは丈が短いんだよね。

登山中、歩く速度が違い過ぎるとどっちも苦痛だろ…

【マット】登山では快適性やコンパクト性より確実性重視だからクローズドセル一択

チョッとだけ登山に興味を持ち始めたんだが・・・

オーダー品じゃなくても幅狭くてサイズ小さめな靴にするとツメ痛は収まると思う

ピークドライシェルの実験を2泊3日でしてきた!

引用元:http://toro.5ch.net/test/read.cgi/occult/1146525531/

スポンサーリンク