218: 名無しさん 2009/05/09(土) 18:57:46 ID:LL+dDVhT0
坂道
知り合いの話。
山中の緩やかな小道を足早に歩いていた。
すると突然、道が急な勢いで登り坂になり始めた。
あれ、おかしいな。ずっと先まで見通せるほど平坦に見えたんだが。
どんどん急勾配になる道に違和感を覚え、その場に足を止めた。
その途端、いきなり立っていられないほどに道が激しく傾いた。
堪らず後ろに向かって倒れ込む。
尻餅をついてから、坂道を転がり落ちる衝撃に備え、頭を抱え身を丸くした。
・・・あれ?
それ以上、身体が転がることはなかった。
恐る恐る顔を上げてみると、記憶にある通りの平らな道の上に座り込んでいた。
しばらくそのままへたっていたが、それ以上の怪異は起こらなかったという。
知り合いの話。
山中の緩やかな小道を足早に歩いていた。
すると突然、道が急な勢いで登り坂になり始めた。
あれ、おかしいな。ずっと先まで見通せるほど平坦に見えたんだが。
どんどん急勾配になる道に違和感を覚え、その場に足を止めた。
その途端、いきなり立っていられないほどに道が激しく傾いた。
堪らず後ろに向かって倒れ込む。
尻餅をついてから、坂道を転がり落ちる衝撃に備え、頭を抱え身を丸くした。
・・・あれ?
それ以上、身体が転がることはなかった。
恐る恐る顔を上げてみると、記憶にある通りの平らな道の上に座り込んでいた。
しばらくそのままへたっていたが、それ以上の怪異は起こらなかったという。
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221: 名無しさん 2009/05/09(土) 19:13:42 ID:LL+dDVhT0
>>218
これ、九州出身者に聞かされた話なんですが、聞かせてくれた人によると
この類の怪は『次第坂』って呼ばれてるそうで。
見越し入道みたく対処する方法もあったらしいのですが、それについては
教えてもらえませんでした。
ミコシだのノビアガリとかいう妖怪と同種なんですかね。
これ、九州出身者に聞かされた話なんですが、聞かせてくれた人によると
この類の怪は『次第坂』って呼ばれてるそうで。
見越し入道みたく対処する方法もあったらしいのですが、それについては
教えてもらえませんでした。
ミコシだのノビアガリとかいう妖怪と同種なんですかね。
219: 名無しさん 2009/05/09(土) 18:59:59 ID:LL+dDVhT0
天狗
友人の話。
彼は幼い頃、山の中腹にある神社を縄張りとしていた。
近所の子とよくそこに行っては、様々な遊びをしたという。
ある時、長い石段を使って陣取りをしていると、上の方からザッザッと下りてくる音がした。
複数名いるようだ。
「誰も上にはいなかったけどな」と怪訝に思い、振り返ってみた。
仰々しい山伏の格好をした者が五名、しっかとした足取りで進んでくる。
挨拶しようとした次の瞬間、硬直してしまった。
五人が五人とも、その首から上が犬のそれであったからだ。
白い毛並の者、斑のある者、赤毛で片耳がない者など、各人風体はバラバラだった。
立ち竦む彼らを気にも留めず、五名の犬面山伏は悠然と下っていき見えなくなった。
どうやら他の友人らも動けずにいたらしい。
山伏が見えなくなると「今の見た?」「一体何だアレ?」口々にそう叫んだという。
その夜、彼の祖父が語って聞かせたところによると
「犬の顔をした山伏?
そりゃ天狗だよ。
ただ、天狗は天狗でも犬天狗っていう輩だって話だ。
天狗としての位は低いとか、本職の山伏に聞いたことあるな。
犬から徳を積んで行くと、よく知られた長鼻の大天狗に精進するんだとさ」
ということだ。
「天狗の仕事っていうのも、色々と大変らしいぜ」
仕事の愚痴をこぼしていた私に、彼はこの話をしてくれた。
彼なりに励ましてくれていたのだろうか、今ではそう思う。
友人の話。
彼は幼い頃、山の中腹にある神社を縄張りとしていた。
近所の子とよくそこに行っては、様々な遊びをしたという。
ある時、長い石段を使って陣取りをしていると、上の方からザッザッと下りてくる音がした。
複数名いるようだ。
「誰も上にはいなかったけどな」と怪訝に思い、振り返ってみた。
仰々しい山伏の格好をした者が五名、しっかとした足取りで進んでくる。
挨拶しようとした次の瞬間、硬直してしまった。
五人が五人とも、その首から上が犬のそれであったからだ。
白い毛並の者、斑のある者、赤毛で片耳がない者など、各人風体はバラバラだった。
立ち竦む彼らを気にも留めず、五名の犬面山伏は悠然と下っていき見えなくなった。
どうやら他の友人らも動けずにいたらしい。
山伏が見えなくなると「今の見た?」「一体何だアレ?」口々にそう叫んだという。
その夜、彼の祖父が語って聞かせたところによると
「犬の顔をした山伏?
そりゃ天狗だよ。
ただ、天狗は天狗でも犬天狗っていう輩だって話だ。
天狗としての位は低いとか、本職の山伏に聞いたことあるな。
犬から徳を積んで行くと、よく知られた長鼻の大天狗に精進するんだとさ」
ということだ。
「天狗の仕事っていうのも、色々と大変らしいぜ」
仕事の愚痴をこぼしていた私に、彼はこの話をしてくれた。
彼なりに励ましてくれていたのだろうか、今ではそう思う。
233: 名無しさん 2009/05/10(日) 06:44:44 ID:YW2JDOxiO
>>219
鳥山石燕の犬神みたいな感じか
鳥山石燕の犬神みたいな感じか
220: 名無しさん 2009/05/09(土) 19:01:22 ID:LL+dDVhT0
猿の手
知り合いの話。
彼の曾祖父は変わった特徴を持っていたと言われている。
右腕全体が、まるで猿のようなフサフサの獣毛で覆われていたというのだ。
「親父は昔、猟師をしてたんだがな。
ある時、山の神様に願いを叶えて貰おうと願掛けをしたらしい。
“猟が上手くなりますように”ってな。
願いは叶って、親父はどんな不猟な時節でも獲物を持ち帰る凄腕になれた。
その変わり、利き腕が猿の手になっちまったんだ。
一体、どんな神様にどんな願掛けをしたんだか」
祖父は幼い彼にそんな話を聞かせてくれたそうだ。
知り合いの話。
彼の曾祖父は変わった特徴を持っていたと言われている。
右腕全体が、まるで猿のようなフサフサの獣毛で覆われていたというのだ。
「親父は昔、猟師をしてたんだがな。
ある時、山の神様に願いを叶えて貰おうと願掛けをしたらしい。
“猟が上手くなりますように”ってな。
願いは叶って、親父はどんな不猟な時節でも獲物を持ち帰る凄腕になれた。
その変わり、利き腕が猿の手になっちまったんだ。
一体、どんな神様にどんな願掛けをしたんだか」
祖父は幼い彼にそんな話を聞かせてくれたそうだ。
221: 名無しさん 2009/05/09(土) 19:13:42 ID:LL+dDVhT0
>>220
ちと変わった獣人ものだったので、妙に覚えてた話です。
これについては類話を聞いたことがないんですよね。
聞かせてくれた彼、何処の人だったんだろう?
それでは、また。雷鳥でした。
文豪山怪奇譚 山の怪談名作選
ちと変わった獣人ものだったので、妙に覚えてた話です。
これについては類話を聞いたことがないんですよね。
聞かせてくれた彼、何処の人だったんだろう?
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登山中は谷側を歩くと足で石を落とす可能性があるので注意を!
ハイキングに毛の生えたようなの好きだな。
ずっと日帰りの低山しかしないなら雨を避けるのも有りだと思う…でも、悪天候を避け続けていたら悪天候スキルが身につかない
【THE NORTH FACE】クライムライトかベリーライトかで迷っている。ベリーライトは丈が短いんだよね。
登山中、歩く速度が違い過ぎるとどっちも苦痛だろ…
【マット】登山では快適性やコンパクト性より確実性重視だからクローズドセル一択
チョッとだけ登山に興味を持ち始めたんだが・・・
オーダー品じゃなくても幅狭くてサイズ小さめな靴にするとツメ痛は収まると思う
ピークドライシェルの実験を2泊3日でしてきた!
引用元:http://anchorage.5ch.net/test/read.cgi/occult/1240987818/
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ハイキングに毛の生えたようなの好きだな。
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【THE NORTH FACE】クライムライトかベリーライトかで迷っている。ベリーライトは丈が短いんだよね。
登山中、歩く速度が違い過ぎるとどっちも苦痛だろ…
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