山

443: 名無しさん 05/03/17 00:14:46 ID:+Qol0yxj0
不思議な家

知り合いの話。

彼の実家は小さな酒屋を経営している。彼は専ら配達専門だ。
お得意の配達先に、不思議な家があるのだという。

その家は山の中腹にポツンと一軒だけあって、小口だがちょくちょく注文がある。
それはありがたいのだが、今まで一度も家の主に会ったことがないのだ。

酒の注文は電話でおこなわれる。ボソボソとした男性の声だそうだ。
配達の品は、家の納屋の決まった場所に置いておく。

月末に支払金額を尋ねる電話があると、次の日にはお金が入った封筒が、やはり
納屋の同じ場所に置かれているのだという。
家屋も納屋も綺麗だが埃がかっていて、まるで使われず古くなった新品のような
印象を受けるのだそうだ。

お金はすべて硬貨で構成されており、なぜか乾いた泥がこびり付いた物が多い。
奇妙には思うが、親の代からの付き合いなので、特に気にしてはいないそうだ。

445: 名無しさん 05/03/17 03:54:23 ID:Ny1m13Tf0
>>443
その客は狐か狸だ!  といってみる。

446: 名無しさん 05/03/17 04:14:56 ID:/dhbSMR3O
狐に一票

447: 名無しさん 05/03/17 04:37:36 ID:llHKLgax0
>>446
タヌなら自分で買いに行く!
ごんご徳利下げてw

448: 名無しさん 05/03/17 06:30:24 ID:tU9wHuf60
ちゃんとお金を払ってくれるのなら
人間だろうがそうじゃなかろが大事なお客様

しかしその金の出所が気になるな
お賽銭とかなのかな

449: 名無しさん 05/03/17 07:57:33 ID:by5ix3NBO
葉っぱ

482: 名無しさん 05/03/20 10:27:05 ID:Uyn5h1V60
鹿の屍骸

少し前の大型台風で荒れた山で、沢筋を詰める事数時間、
沢が尽き、そこから先は尾根までの直登となった。

尾根までの距離は長く急斜面で、台風に流され、浮いた状態の
木切れや石が、踏ん張りがきかずに滑る足を痛めた。

岩が消え、木が流され、地面さえその高さや形を変えてしまっている。
天候は良かったが、山は、お遊びで登るのに適しているなどと、
決して言えない状態だった。

そんないつもと違う山が俺たちを、浅はかにも高揚させていた。
普通に考えれば、あるいは今なら
絶対に奥まで踏み込まないが、それは今回の本題ではない。

沢から抜けてすぐ、臭いには気付いていた。
沢登りが好きだった俺たちは、登山やハイキングのコースから外れた
あたりを歩くことが人より多かったが、時に出くわす、あの臭い。

山中で息絶え、土に返ろうとする大型生物が、自らの生きた証として
周囲に染み付かせようとするかのように撒き散らす、あの臭い。

空の上の誰かさんが念入りに調合した青を流したような空、
そこにあるだけで、充分に恵みと言えそうな太陽、
丹念に葉を揺らしながら、斜面をゆったりと行く風、
地面から、木々から、もしかすると岩から立ち昇る、程よい湿り気。

そうした気持ち良いはずの一切合財を、台無しにする死臭。

やがて分かった。

483: 名無しさん 05/03/20 10:27:41 ID:Uyn5h1V60
斜面の一角に、多くの鹿の屍骸。

30頭までは居ないだろうが、20頭以下という事はなさそうな、
そんな多くの鹿が倒れ、足を突っ張り、腹を膨らませ、微動だにしない。

鳥や熊にでも食われたのか、腹が裂けている屍骸もある。
大嵐の中、何があったのか、ともかくこいつらは、ここに追い込まれた。

不思議なのは、木や岩に挟まれて動けないまま死んでいるのは
3~4頭で、その他のはなぜここで死んだのか見当がつかない。

不自然に折れ曲がった背中、口から突き出された舌、すでに血膿で
しかない眼球、こんな場所、状況でなければ、きっと欲しくなったはずの、
見事な牡鹿の角。

流れ出た内蔵には、赤やピンクだけでなく、青っぽい色をしているのもある。
明るい空の下、奇妙に光る死の塊。

長く見ているようなものではないと分かっていながら足が止まり、息が止まり
思考が止まった。
地獄絵図と言って良いだろう。

不意に肺から空気が押し出され、まともな意識が舞い戻った。
よく見ると、動いている。

白い元気いっぱいな奴らが、ざわざわと動いている。
目や口から溢れた奴が地面にこぼれ、避けた腹から押し出された奴が
盛り上がり、波打つように動いている。

鹿の内容物が化学変化を起こし、この白い小さな生き物に変わるプロセスを
想像した。

いや、もしかすると、鹿は元々こいつで満たされていたのかもしれない。
それほどの量に見えた。

484: 名無しさん 05/03/20 10:28:15 ID:Uyn5h1V60
そして、蛆虫の音というのを初めて聞いた。
一種独特の湿った重い音。

炊き立ての白米にしゃもじを突き入れ、かき回しているような音だが
もっと活動的でエネルギーに満ちた音。

吐き気を感じたが、自分の口から大量の蛆虫が吐き出されるのを想像した。
喉を、口を、内側から逆流する蛆虫の感触までリアルに感じた。

その沢に行ったのは、それが最後だった。

487: 名無しさん 05/03/20 12:49:58 ID:qmpzGaaz0
リアルなビジュアルでリアルに怖い。

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