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835: 名無しさん 2006/10/04(水) 23:39:11 ID:2Yf4gnvY0
彼岸

地元ではさ、酒を口に含んだ友人が言う。
ここを彼岸っていうんだ。

テントの中、さりげなく彼は言うが、
9月の連休に聞かされて気持ちの良い話ではない。
呼び名の由来など、聞くまでもない。

死んだ者が、向こう岸から、こちらへ渡ってくる。
ここから、向こうへと帰る。

勝手に来て、勝手に帰るわけじゃないよ。
テントの中、話はだらだら続く。
鬼って知ってるだろう。
向こう岸からこちらへ、人を追い立ててくるんだ。

何日かすると、今度はこちらから向こうへと
人を追い立てる。
そうでもしないと、皆、帰りたがらないからだという。
その間、鬼は集落に居続ける。
亡者に居付かれては、たまらない。
村人は、せいぜい鬼をもてなし、
亡者を向こう岸へ連れて行ってくれるよう、頼むのだ。

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836: 名無しさん 2006/10/04(水) 23:40:16 ID:2Yf4gnvY0
無論、鬼へのもてなしには、
亡者を連れて来てくれたことへの感謝の意味もある。

酒を振舞い、食べきれないほどの食事を盛り上げる。
祭りを催し、村は沸き立つ。
やがて村が静かになると、鬼は亡者どもを引き立てながら
彼岸と呼ばれる、この川原を渡って行く。

山から鬼が降りて来る。
里で荒れ狂い、暴れまわり、山へ帰る
そんな類型的な物語と、今聞いたばかりの話を比べながら
テントを出た。
物語など、見方次第だ。

風が吹き、闇の中、川の流れが白く泡立ち、
川原の石が鳴った。
テントから出てきた友人が、風の中に立ち、
酒瓶を逆さまにした。

振る舞い酒だ。
そう言って、彼は笑った。

871: 名無しさん 2006/10/09(月) 03:46:12 ID:+ciWz2RF0
おーいと呼ぶ声

友人の話。

幼い頃、彼は実家の山村で迷子になってしまったという。
つい山奥へ踏み込んでしまい、気が付くと何処にいるのかわからなくなっていた。

何時間歩いただろうか。疲れ果てしゃがみ込んだ耳元に、声が届いた。
「おーい」と呼ぶ声だ。麓の方から響いてくる。

あっちに誰か居る!慌てて立ち上がり、声のする方へ叫び返しながら走り出した。
今思えば奇妙な声だったらしい。彼は声に向かって全力で走り寄っているのに、
声は一向に近くなる気配がなかった。彼と同じ速度で逃げているかのように。

と、唐突に開けた場所に出た。よく見知っていた裏山の神社だ。
安堵でへたり込み、息を吐いているうちに気が付く。

声はもう聞こえなくなっていた。
御礼を言おうと何度も呼びかけてあの声の主を探したが、夕暮れの里には烏の
鳴き声が谺するだけだった。

彼は今も実家に帰ると、そこの御社へ参拝を欠かさないのだそうだ。

872: 名無しさん 2006/10/09(月) 03:47:28 ID:+ciWz2RF0
ダル憑き

友人の話。

親戚の叔父さんと二人で、山の下草刈りをしていた時のこと。
何処からともなく「おーい」と呼びかけられた。

思わず「はーい」と返事を返すや否や、彼はいきなり打っ倒れた。
腹の中がストンと空っぽになったような、異様な寒気に襲われたのだ。
猛烈にひもじい。力が入らない。体温がぐんぐん下がるのが自分でもわかる。
そのまま、意識がプツリと途切れた。

気が付くと、叔父さんが心配そうに見下ろしている。飢餓感は消えていた。
ホッとして半身を起こすと、口元に何かがへばり付いていた。
御飯粒だ。叔父さんが彼の口に弁当の残りを入れてくれたのだという。

「ダルさんの呼ぶ声に答えたな。連れてかれるところだったぞ、お前」

ダルというのは、この峠に出る餓鬼の名前だという。
山で飢え死にした者の無念が鬼となり、生きている者を呼ぶのだと。

うっかり死者の呼びかけに答えてしまうと、飢えて行き倒れることになる。
そこの地元では餓鬼憑き、もしくはダル憑きと呼んでいたそうだ。

「亡者の声か生者の声かなんて、区別付かないよなぁ普通」
そう言って彼はぼやいていた。

873: 名無しさん 2006/10/09(月) 03:48:54 ID:+ciWz2RF0
行方不明

知り合いの話。

朝方に彼が里道を歩いていると、向こう側から顔見知りがこちらに進んできた。
ただ不思議なことに、それが誰だったのかどうしても思い出せない。

そいつが「おーい」と声を出したので、彼も「どうしたー?」と言葉を返す。

次の瞬間、辺りがいきなり真っ暗になった。
呆然と見上げると、大きな月が世界を照らしている。
彼は真夜中の暗い道の上、一人きりで突っ立っていた。

ひどく驚いたがどうしようもなく、そのまま家に帰ることにした。
帰宅した彼は、再び仰天することになる。

家の者が言うには、彼は五日前から行方不明になっており、村中で手分けして
捜索していた真っ最中だったからだ。

とりあえず無事に帰ってきたということで、村では一件落着したのだが、家族は
しばらく何か恐れているような眼で彼を見ていたという。


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モンベルの雪山講習を申し込んだら雪山登山用の靴を準備してくださいと書かれてた

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引用元:http://toro.5ch.net/test/read.cgi/occult/1157438374/

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