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275: 名無しさん 04/06/28 23:51 ID:WBtCi1tf
降ってくる土

年寄りに聞いた話。

若かかりし頃、木橋のたもとで昼寝をしていると、頬に何かが落ちてきた。
指先で触ってみると土くれ。払いのけてもまた落ちてくる。
誰かが悪戯しているのか、と仰向けになり目を開けた。

覗き込んでいる顔が2つ。
異様に青白くふやけた肌。

口や鼻の穴、本来なら目があったはずの空洞にまで
みっしりと詰まった土が、ポロポロと降ってくる…
悲鳴をあげ、後ろも見ずに逃げた。

村の長老にそのことを話すと、しれっとした顔でこう答えた。
「あそこにはだいぶ埋まっとるからな。あいつらまだ諦めていないとみえる…」
何を諦めていないのか、それがひどく気になったそうだ。


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276: 名無しさん 04/06/28 23:51 ID:WBtCi1tf
子供の泣き声

同級生に聞いた話。

夏のある日、恋人と二人でキャンプに行き河原でテントを張った。
寝る前にテントの中で喋っていると、どこからか子供の泣き声が聞こえてくる。

ゾワっと鳥肌が立った次の瞬間
ドサッ!

上から何かが落ちてきてテントが潰れた。ランプが消えて辺りは暗闇に。
布地越しに、小さな子供のようなモノが居る感触。手足をバタバタと振り回している。

パニクった恋人が大声で泣き出すと、そいつは唐突にフッと姿を消した。
そのまま一睡もできずに二人で夜を明かした。
翌朝、外に出てみると、テントの入り口に花が数本置いてあった。

278: 名無しさん 04/06/28 23:53 ID:WBtCi1tf
野太い声

親父の知り合いに聞いた話。

山道を歩いていた時のこと。
前方の路肩に子供がしゃがみ込んで地面をじっと見つめているのが見えた。
追い越しざま、子供の肩ごしに覗き込んでみる。

巨大なヒルがミミズを襲い貪り食っている光景が目に飛び込んできた。
生理的な嫌悪感に顔を背けようとすると、いきなり子供が振り返った。

「もうすぐ、お前もこうなるんだ」
野太い声。その顔は皺くちゃの老人のそれだった。

気味が悪くなって山道を引き返した。
あれから十年あまり、今のところ健康に暮らしている。

279: 名無しさん 04/06/28 23:54 ID:WBtCi1tf
妙な気配

炭焼きをしていた頃、寝ずの番をしたことが何度かあった。
そんな時、早朝に妙な気配を感じることが多々ある。

辺りの空気圧が少し上がったような圧迫感と、無数の気泡が弾けるようなざわめき。
振り向いても首を巡らせても、不審なものは見当たらない。

親父にそのことを話してみた。
「そりゃ朝は樹が太るからな。その音を躰で聞いてるんだ」
そう答えると、親父はグラスにビールを注いでくれた。

山の霊異記 幻惑の尾根

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出典:http://hobby5.5ch.net/test/read.cgi/occult/1087736948/

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