976: 名無しさん 2005/12/12(月) 22:41:26 ID:h7p493ba0
指の感触
雪の季節を前に、山から人がぐっと少なくなる時期の単独行は
独特の雰囲気があって格別だ。
人のぬくもりが残る部分と、そうでない部分とが混在し、
寂しいといえば寂しいのだろうが、静かな光が寒さの中で
広がり始める、そんな独特の空気がある。
時に奇妙な体験もする。
二泊する予定の山行だったが、異変に気付いたのは初日の午後だった。
首筋を後ろから、そっとつままれたのだ。
優しく、温かな指先だった。
その後、何度かその感触を感じた。
一夜が明け、夜露に濡れて重たくなったテントをたたんでいた。
テントを細く折り、端から丸く巻き込んでいると、テントの中から、
そっと手を掴まれたような気がした。
今度も優しく、温かな指先だった。
歩き始めてすぐ、指はまた首筋に来た。
指先の感触は消えたり現れたりしながら、ずっと付いて回った。
こうなると逃げようとしても無駄だと思い、相手の気が済むまで
指と同行するしかないと諦めた。
雪の季節を前に、山から人がぐっと少なくなる時期の単独行は
独特の雰囲気があって格別だ。
人のぬくもりが残る部分と、そうでない部分とが混在し、
寂しいといえば寂しいのだろうが、静かな光が寒さの中で
広がり始める、そんな独特の空気がある。
時に奇妙な体験もする。
二泊する予定の山行だったが、異変に気付いたのは初日の午後だった。
首筋を後ろから、そっとつままれたのだ。
優しく、温かな指先だった。
その後、何度かその感触を感じた。
一夜が明け、夜露に濡れて重たくなったテントをたたんでいた。
テントを細く折り、端から丸く巻き込んでいると、テントの中から、
そっと手を掴まれたような気がした。
今度も優しく、温かな指先だった。
歩き始めてすぐ、指はまた首筋に来た。
指先の感触は消えたり現れたりしながら、ずっと付いて回った。
こうなると逃げようとしても無駄だと思い、相手の気が済むまで
指と同行するしかないと諦めた。
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977: 名無しさん 2005/12/12(月) 22:42:26 ID:h7p493ba0
二泊めの夜。
相変わらず指の感触は首にあったが、前へ来た。
夜通し歩けば、下まで行けるという思いが頭を占めていた。
単独での夜間行動は危険だと知りながらなお、即座の下山を望んだ。
だが、そうさせることが指の狙いかもしれないと、そうも思った。
首に置かれた指の感触は、もはや消えもしない。
絞め殺されることはあるまいと見当をつけ、そのまま寝てしまった。
最終日。
下山し始めると、指はまた首筋を後ろからつまむようになった。
下りきる直前、水子地蔵がある。
なぜここにがあるのかは知らないが、確かに水子地蔵だ。
その前を通り過ぎたとき、首筋の指が離れた。
振り返ろうとしたとき、後ろから突き飛ばされた。
ザックを背負った背中に、じかに手を感じた。
ザック越しの感触ではなかった。
よろめき、たたらを踏む間に、脇の笹薮が葉音を立てた。
がさがさと、その音はあっという間に遠ざかった。
振り返ると、水子地蔵と目が合った。
そんな気がした。
相変わらず指の感触は首にあったが、前へ来た。
夜通し歩けば、下まで行けるという思いが頭を占めていた。
単独での夜間行動は危険だと知りながらなお、即座の下山を望んだ。
だが、そうさせることが指の狙いかもしれないと、そうも思った。
首に置かれた指の感触は、もはや消えもしない。
絞め殺されることはあるまいと見当をつけ、そのまま寝てしまった。
最終日。
下山し始めると、指はまた首筋を後ろからつまむようになった。
下りきる直前、水子地蔵がある。
なぜここにがあるのかは知らないが、確かに水子地蔵だ。
その前を通り過ぎたとき、首筋の指が離れた。
振り返ろうとしたとき、後ろから突き飛ばされた。
ザックを背負った背中に、じかに手を感じた。
ザック越しの感触ではなかった。
よろめき、たたらを踏む間に、脇の笹薮が葉音を立てた。
がさがさと、その音はあっという間に遠ざかった。
振り返ると、水子地蔵と目が合った。
そんな気がした。
774: 名無しさん 2006/02/18(土) 20:26:59 ID:9ArWbdqY0
労務者風のオッサン
全く怖い話ではないのだが、俺にとっては凄く怖かった事。
S県のD山(標高1000メートル弱)の頂上付近を深夜、車で走行中
労務者風のオッサンが車道の真中で手を振っていた。
それだけでも怖いのに、背中を丸め窓に顔を押し付けるように「Sの方に乗っけてって欲しい」と言う。
「悪いけどオレはHへ行く途中だから」
「ならそっちでもいい」
「ちょっとまって携帯が鳴ってるから」と俺は嘘を付いた。
そして、オッサンの顔が窓から離れた瞬間、俺はフルスロットルで逃げた。
全く怖い話ではないのだが、俺にとっては凄く怖かった事。
S県のD山(標高1000メートル弱)の頂上付近を深夜、車で走行中
労務者風のオッサンが車道の真中で手を振っていた。
それだけでも怖いのに、背中を丸め窓に顔を押し付けるように「Sの方に乗っけてって欲しい」と言う。
「悪いけどオレはHへ行く途中だから」
「ならそっちでもいい」
「ちょっとまって携帯が鳴ってるから」と俺は嘘を付いた。
そして、オッサンの顔が窓から離れた瞬間、俺はフルスロットルで逃げた。
776: 名無しさん 2006/02/18(土) 23:31:12 ID:qTuhmGpW0
>>774
いや、怖いよ。w
夜山道を車で走ってて、人と行き会うだけでもすごくびびる。
ただの人間(たぶん)なのに、街では一日に何百何千とすれ違うのに、
そんな時そんな場所に人間がいるはずがないと思ってるから、
心の準備ができてないってだけの理由でかなり怖い。まさに歩くオーパーツ。w
ましてやそんな姿勢で乗せてくれなんて言われたら…
本当はただ道に困ってるだけのおっさんなんだろうけど、俺も逃げちゃうと思う。
いや、怖いよ。w
夜山道を車で走ってて、人と行き会うだけでもすごくびびる。
ただの人間(たぶん)なのに、街では一日に何百何千とすれ違うのに、
そんな時そんな場所に人間がいるはずがないと思ってるから、
心の準備ができてないってだけの理由でかなり怖い。まさに歩くオーパーツ。w
ましてやそんな姿勢で乗せてくれなんて言われたら…
本当はただ道に困ってるだけのおっさんなんだろうけど、俺も逃げちゃうと思う。
794: 名無しさん 2006/02/20(月) 00:17:59 ID:1UP7AtJF0
>>774
もう、ダリの絵のようなありえないシュールなポーズで車をのぞき込んでるおっさんの絵ヅラしか浮かばない…w
もう、ダリの絵のようなありえないシュールなポーズで車をのぞき込んでるおっさんの絵ヅラしか浮かばない…w
777: 名無しさん 2006/02/19(日) 01:38:20 ID:0IJg0CPQ0
冷静に考えると凄い悪い事したなーって話だよね。
でも俺も逃げちゃう。絶対。正直無理だよ…ねぇ。
でも俺も逃げちゃう。絶対。正直無理だよ…ねぇ。
778: 名無しさん 2006/02/19(日) 01:50:17 ID:DYhWoXyr0
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