409: 名無しさん 2006/07/20(木) 23:32:40 ID:mOUvQntX0
黒装束の女ども
曇り空、山も空も灰色で、細かな水滴が
あたりを満たしている。
風は感じなかったが、水滴は斜めに降っている。
足元からは、影さえ伸びない。
その足元の、はるか下。
岩だらけの斜面を、まっすぐ登ってくる一団がある。
黒装束の女どもだ。
洋装で、葬式帰りといった風情だ。
一人一人は、鉛筆の先ほどに小さく見える。
急傾斜、ゆっくりと、歩いて登ってくる。
山にふさわしい格好、集団ではなかった。
傍に来て欲しくはなかった。
そして無論、どうすべきか分からなかった。
石でも落としてやろうか。
だが、と思った。
そんなことをすべきではない。
その日、友人の母親が死んでいた。
子供の頃から、よく小言を頂戴した。
山を始めてからは、小言が長くなった。
俺と同じ頃に登山を始めた友人は、母の小言に
耐えかね、早いうちに山をやめてしまった。
お節介には、違いない。
俺が山へ出かけたと聞くたび、
「馬鹿だねぇ、あの子は」
そう言っていたと、後になって聞かされた。
曇り空、山も空も灰色で、細かな水滴が
あたりを満たしている。
風は感じなかったが、水滴は斜めに降っている。
足元からは、影さえ伸びない。
その足元の、はるか下。
岩だらけの斜面を、まっすぐ登ってくる一団がある。
黒装束の女どもだ。
洋装で、葬式帰りといった風情だ。
一人一人は、鉛筆の先ほどに小さく見える。
急傾斜、ゆっくりと、歩いて登ってくる。
山にふさわしい格好、集団ではなかった。
傍に来て欲しくはなかった。
そして無論、どうすべきか分からなかった。
石でも落としてやろうか。
だが、と思った。
そんなことをすべきではない。
その日、友人の母親が死んでいた。
子供の頃から、よく小言を頂戴した。
山を始めてからは、小言が長くなった。
俺と同じ頃に登山を始めた友人は、母の小言に
耐えかね、早いうちに山をやめてしまった。
お節介には、違いない。
俺が山へ出かけたと聞くたび、
「馬鹿だねぇ、あの子は」
そう言っていたと、後になって聞かされた。
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411: 名無しさん 2006/07/21(金) 00:17:19 ID:rphkKaTb0
>>409
心配性は世の(自分も含めた)おばさん一般に見られる傾向だけど、
ちょっとこのお話は切ないね。
お小言貰う方にはうざいだろう、ってわかってても、
世話焼きのおばさんはつい言わずにおれない。
死んでからも、全裸さんに安全な山行を心がけるよう、
お別れの代わりにその光景を見せたのかもしれないね。
心配性は世の(自分も含めた)おばさん一般に見られる傾向だけど、
ちょっとこのお話は切ないね。
お小言貰う方にはうざいだろう、ってわかってても、
世話焼きのおばさんはつい言わずにおれない。
死んでからも、全裸さんに安全な山行を心がけるよう、
お別れの代わりにその光景を見せたのかもしれないね。
412: 名無しさん 2006/07/21(金) 03:37:45 ID:TDiGJCl80
髪の毛
先輩の話。
一人で山に篭もっていた時のこと。
夜半になぜか目が覚めた。右目がチクチクする。
虫でも入ったかと思い、指で目の辺りをまさぐっていると、何かが触った。
指の腹に、微かにチクッと刺すような感触。
そのまま掴んで引き出す。髪の毛だ。
やれやれと引っ張り出してみたが、髪はいつまで経っても途切れない。
やがてすべて引き出された髪の毛は、彼の腰に達する程の長さがあった。
彼自身の髪ではない。スポーツ刈りだったから。
・・・一体、誰の髪の毛なんだよ?
考えても答えが出る訳もなく、再び寝ることにした。
夜が明けるまで、彼は何度も目に異物を感じて起きることとなる。
引き出された長い長い髪の毛は、結局十本以上になった。
髪の毛は近くに穴を掘って埋めてしまったそうだ。
気味が悪かったが、それ以外の怪異には逢わなかったという。
先輩の話。
一人で山に篭もっていた時のこと。
夜半になぜか目が覚めた。右目がチクチクする。
虫でも入ったかと思い、指で目の辺りをまさぐっていると、何かが触った。
指の腹に、微かにチクッと刺すような感触。
そのまま掴んで引き出す。髪の毛だ。
やれやれと引っ張り出してみたが、髪はいつまで経っても途切れない。
やがてすべて引き出された髪の毛は、彼の腰に達する程の長さがあった。
彼自身の髪ではない。スポーツ刈りだったから。
・・・一体、誰の髪の毛なんだよ?
考えても答えが出る訳もなく、再び寝ることにした。
夜が明けるまで、彼は何度も目に異物を感じて起きることとなる。
引き出された長い長い髪の毛は、結局十本以上になった。
髪の毛は近くに穴を掘って埋めてしまったそうだ。
気味が悪かったが、それ以外の怪異には逢わなかったという。
413: 名無しさん 2006/07/21(金) 03:39:19 ID:TDiGJCl80
首吊り
知り合いの話。
猟師をしていた祖父と、一緒に山に入っていた時に教えられたこと。
俺も何度か首吊りした奴を見たけどな、ありゃ見目がいいモンじゃない。
下が垂れ流しになるからな。
それから首吊るんなら、絶対に松の木でしちゃなんねェぞ。
松に取り込まれて成仏も出来なくなっちまう。
ほれ、あんな風にな。
そう言って祖父が指差した先、大きな松の陰に、一瞬灰色の人影が見えた。
すぐに消えて見えなくなる。
え? あの木で首吊った奴が居るのかって?
さぁてどうだったか。随分と前のことだからな。
ま、自殺なんかするモンじゃねェってことだ。
その教えのせいかどうか。
彼はどんなに辛くても、死にたいなどと考えない大人に育っている。
知り合いの話。
猟師をしていた祖父と、一緒に山に入っていた時に教えられたこと。
俺も何度か首吊りした奴を見たけどな、ありゃ見目がいいモンじゃない。
下が垂れ流しになるからな。
それから首吊るんなら、絶対に松の木でしちゃなんねェぞ。
松に取り込まれて成仏も出来なくなっちまう。
ほれ、あんな風にな。
そう言って祖父が指差した先、大きな松の陰に、一瞬灰色の人影が見えた。
すぐに消えて見えなくなる。
え? あの木で首吊った奴が居るのかって?
さぁてどうだったか。随分と前のことだからな。
ま、自殺なんかするモンじゃねェってことだ。
その教えのせいかどうか。
彼はどんなに辛くても、死にたいなどと考えない大人に育っている。
414: 名無しさん 2006/07/21(金) 03:40:35 ID:TDiGJCl80
古びた手鞠
友人の話。
夜釣りをしようと、山中の溜め池に出かけた時のこと。
外灯の明りを頼りに竿を振っているうち、ふと場違いな音が聞こえてきた。
ぽーん ぽーん
近くでゴムボールが弾んでいるみたいな、そんな音だった。
何の音だろうと耳を澄ませていると、いきなり音は途切れた。
そして横手から足下にコロコロ転がってきた物が一つ。
布で編まれたような、古びた手鞠。
「取って」と少女の声がした。
仰天して周りを見回してみたが、闇の中には誰の姿も見えない。
恐る恐る鞠を拾い上げ、声がした方へ放ってやる。
鞠が地に落ちる音は聞こえなかった。
やがて再び、ぽーんぽーんという音が聞こえ出した。
何も見えない闇の中、誰かが一心に手鞠をついている。
もうとても堪らず、直ぐさま退散したのだという。
帰ってから原因不明な熱が出て、数日間寝込んでしまった。
熱が引いてからも、しばらくは夜釣りに出られなかったそうだ。
友人の話。
夜釣りをしようと、山中の溜め池に出かけた時のこと。
外灯の明りを頼りに竿を振っているうち、ふと場違いな音が聞こえてきた。
ぽーん ぽーん
近くでゴムボールが弾んでいるみたいな、そんな音だった。
何の音だろうと耳を澄ませていると、いきなり音は途切れた。
そして横手から足下にコロコロ転がってきた物が一つ。
布で編まれたような、古びた手鞠。
「取って」と少女の声がした。
仰天して周りを見回してみたが、闇の中には誰の姿も見えない。
恐る恐る鞠を拾い上げ、声がした方へ放ってやる。
鞠が地に落ちる音は聞こえなかった。
やがて再び、ぽーんぽーんという音が聞こえ出した。
何も見えない闇の中、誰かが一心に手鞠をついている。
もうとても堪らず、直ぐさま退散したのだという。
帰ってから原因不明な熱が出て、数日間寝込んでしまった。
熱が引いてからも、しばらくは夜釣りに出られなかったそうだ。
▽注目記事
おまいら、山頂でなにしてるのさ?
雪の中でキャンプする奴wwwwwwwww
【画像】冬の北アルプス燕岳行ってきた (´・ω・`)
キャンプの良さが全く分からないんだが普通にホテルや旅館に泊まって美味いもの食う方がよくね?
パタゴニアのR1ってベースレイヤー的な使い方もできるよな
おまえらが山でイラっとした瞬間 ( ゚Д゚)ゴルァ!!
山ガール「山でスマホを手に持ってたらババアに危ないよ!と注意された」
大量に汗をかく…汗でドボドボ 汗だくの人専用
キャンプってのはこう、何て言うか自由で救われてないといけないと思うんだ。
体力ないヘタレだからテント泊の夜とか食欲ないのに、無理矢理アルファ化米を腹に詰め込んでる感じ。他に美味くて軽い山飯はないものか‥‥。
引用元:http://toro.5ch.net/test/read.cgi/occult/1151517198/
雪の中でキャンプする奴wwwwwwwww
【画像】冬の北アルプス燕岳行ってきた (´・ω・`)
キャンプの良さが全く分からないんだが普通にホテルや旅館に泊まって美味いもの食う方がよくね?
パタゴニアのR1ってベースレイヤー的な使い方もできるよな
おまえらが山でイラっとした瞬間 ( ゚Д゚)ゴルァ!!
山ガール「山でスマホを手に持ってたらババアに危ないよ!と注意された」
大量に汗をかく…汗でドボドボ 汗だくの人専用
キャンプってのはこう、何て言うか自由で救われてないといけないと思うんだ。
体力ないヘタレだからテント泊の夜とか食欲ないのに、無理矢理アルファ化米を腹に詰め込んでる感じ。他に美味くて軽い山飯はないものか‥‥。
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